2013年御翼4月号その2

音符と音符の間のスペース(空間)が大事

 ラテン・ロック・バンド「サンタナ」のキーボーディストとして演奏もしているフレディ・ラベル氏(Freddie Ravel)は、ブラジル出身のクリスチャン作曲家・ピアニストである。「音楽は、人にとって、まだまだ用いられ方が少なすぎるものの一つだと感じています。音楽は、神さまが与えてくださった偉大な賜物の一つです。皆で参加し、歌い、演奏し、祝うことができるのです。人の一生では、揺り籠から墓場まで音楽が用いられます。人の誕生を祝うときに、そしてその後も音楽が用いられるのです。それにも関わらず、今や音楽をiPodやiPhoneで聞いたりします。そして、『ちょっとコンサートにでも行ってみようか』『ちょっとこの歌を聞いてみようか』と軽視されがちです。しかし、私の心では、食糧、水、住まい、音楽、と並ぶのです。音楽には、私たちの魂に影響を与え、精神を高揚させる力があります」とラベル氏は言う。
 iPodやCDプレーヤーは、音楽を身近なものにしたという意味では、良いものである。しかし、このデジタルの時代は、即座に音楽が手に入るため、心の働きを失いがちである。デジタル技術は良いものでるが、私たちには、もっと立ち止まって、音楽の真の姿に対してより高い段階の敬意を持つべきだと、ラベル氏は語る。音楽は何かをしながら聞き流すだけでなく、時には真剣に音楽を聞く時間を持ち、祈ったり、真に音楽を楽しむことも大切だということなのだ。
 ラベル氏は、およそ私たち人間が為すことには、音楽が含まれていて、人が作る組織は音楽のようなものだという。音楽の三要素は、メロディー(旋律)、ハーモニー(和音)、そしてリズム(拍子)である。この三つを組織にあてはめてみよう。これはアップル社やシティーバンクなどでの成功のためのセミナーで言って来たことであるが、メロディーはリーダーシップを取る人、ハーモニーはリーダーを支援する人たちであり、メロディーに重要性を与えるのがハーモニーに例えられる。そして、テンポ(速さ)を決めるリズムは、組織に推進力を与える。これら三つが合わさって音楽ができるように、人が作る組織にも、この三つが存在する。例えば、家庭においてラベル氏が父親として、二人の娘を毎朝、学校に行かせる準備をさせ、送り出そうとするとき、氏はメロディーでもハーモニーでもなく、ドラマーになっているのだ。八時十分前には子どもたちを玄関の外に出さなければ、学校に遅刻してしまうからである。誰もが、組織の中で、時にはメロディー(リーダー)、ある時はハーモニー(支援者)、そしてリズム役(推進力)と、役割を代わる代わる演じることになる。これは、互いに補い合い、キリストの体を築き上げるクリスチャンの歩みである。
 ラベル氏は、信仰と生活について以下のように述べる。「神はすべての中心におられます。私たち家族は、日々祈る家族であり、存在する機会が与えられていることを絶えず感謝しています。神のご栄光を表わすために存在しているから、成すこと全ての中心に神がおられます。そして、音楽活動を通して、音楽も神にお仕えする形の一つなのだと認識するようにしています。そして、音符と音符の間にはスペースがあります。その部分が、私たちの人生で最も大切な局面なのです。私たちは次元の高い力を持っておられる神にお委ねし、私たちの内面に響く霊感、発想に耳を傾ける必要があります。そして、可能な限り自分たちをおささげするのです。私にとって、それは、その瞬間瞬間において、命を祝うことなのです」と。
 音楽と人生の中心に神様を置くラベル氏は、イエス様こそ救い主であると個人的に体験しており、その演奏は、神への感謝と喜びにあふれている。

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